【MBTI】IN型の適職を考察してみた
MBTI
以前、IN型の生きづらさをテーマに書いた記事が予想外に伸びたので、その続編として今度はIN型の適職についての記事を書いてみました。
私のWebサイトにたどり着いた検索ワードを見てみると、どうやらMBTIについて既に知っている人が来てくれているようですのでMBTIについては割愛しますが、もしMBTIについて初めて聞いたという方はお手数ですが検索するなどして調べてみてください。
IN型の強みと弱み
まず、IN型が働くにあたっての強みと弱みについて整理したいと思います。
強み
学力が高い
IN型は学力が高いと言われています。
私の経験でも、進学校や難関大学などではIN型の割合が高く、どうやらこの傾向は明らかなようです。
ただ、「頭の良さ」と「学力の高さ」は注意して分ける必要があります。
というのも、就職してから求められる「頭の良さ」は「学力の高さ」とは違うことも多く、この点については後程述べようと思います。
創造性が高い
N型特有の想像力とI型特有のオリジナリティで高い創造性を発揮します。
INT型であれば科学、INF型であれば文芸で高い創造性を発揮し、歴史に名を残した人は枚挙に暇がありません。
ただ、創造性が高いということが裏目に出てガチガチに規律で縛られた環境やルーチンワークに対する適性は低くなっています。
マイペースである
S型が慣習に従う傾向にあるのに対し、N型はあまり慣習を重視しません。
加えて、I型はE型ほど人目を気にしないこともあり、IN型はマイペースな傾向で、このことはうまく使えば強みに繋がります。
弱み
繊細である
I型は繊細なことが多く、それにN型の想像力が加わると悩みが頭の中で増幅してしまうことが多いようです。
実際のところ、ネット上で生きづらさについて語る人はIN型が多いように見受けます。
体育会系適性が低い
IN型は体育会系とは真逆の気質であり、その集団の慣習を素直に受け入れて染まるタイプとは真っ向から反します。
そのため、どんな環境にもすぐに適応できる体育系と比較すると職業選択に慎重にならざるを得ません。
ビジネスや金に対する関心が薄い
IN型は俗なタイプが少なく、ビジネスや金に対する関心が薄い傾向にあります。
そもそも行かないとは思いますが、証券営業のようなひたすら数字を求められるような業界には特に不向きでしょう。
適職の傾向
上記の強みと弱みから、適職を模索する上でカギになるポイントが何点かあります。
働き方を柔軟に選べる
どんな環境にもすぐに適応できる体育会系とは違い、IN型は環境を選びます。
職場というのは行ってみないと合うか分からない部分がありますし、仮に合わない環境に行ってしまった場合に距離を取ったり別の環境に行ったりできるかどうかはとても重要です。
裁量がある
IN型は体育会系適性が低く、命令されたことだけを確実に遂行するといったような軍隊式の働き方には全く向きません。
自分の頭で考えて判断することにこだわるタイプなので、裁量があるかどうかはIN型にとって給料などよりも優先順位が高くなります。
極める要素がある
IN型は創造性が高いのですが、それが裏目に出てルーチンワークに対する適性は低くなりがちです。
ルーチンワークをし続けるのではなく、自分の頭で考えて探求し、理解や表現をどんどん深めていくような職業が向いています。
向いている職業
医師
まず、IN型は学力が高いため難関である医学部入試に有利です。
そして、いったん医師免許を取得できれば、医師の強さは枚挙に暇がありません。
働き方を柔軟に選べる
医師は激務とよく言われますが、それは病棟がある病院の勤務医のことであることが多く、実際は病棟が無い病院もありますし、そして常勤先を持たず健診などで生計を立てるフリーランスの医師(いわゆるバイト医)もいます。
また、病院や診療科などによっては体育会系の雰囲気があるそうですが、そこに合わなければ別の職場で働けばいいだけなので、配属先を自分で選べない会社員と比べると非常に有利です。
体育会系適性が低く、その集団の慣習に素直に染まれないIN型にとって、合わなければ職場を柔軟に変えられるというのは大きなメリットです。
裁量が大きい
もちろん医局や大病院などではヒエラルキーがありますが、それでも大企業などに比べるとずっと小規模なので、一挙手一投足に稟議が必要で全く自由の無い大企業社員と違って裁量が大きいです。
また、開業するという選択肢もあり、リスクこそありますが裁量は会社員とは比べ物にならないほど高いと言えます。
極める要素がある
医療技術は日進月歩で進歩していますし、それに置いて行かれないために勉強を続ける必要があります。
IN型にとってはこういった自己研鑽は苦痛ではなく、むしろ喜びになる場合の方が多いのではないでしょうか。
人に感謝される仕事である
これは特にINF型にとっては重要なポイントだと思います。
私のように大企業でブルシットジョブをしていても誰からも感謝されませんが、医師は患者から感謝され、そして尊敬される仕事です。
収入が高い
これは言うまでもないでしょう。
ただ、IN型であればそこまで金にこだわらないと思うので、先に述べた点ほどのメリットではないと思います。
専門職(弁護士、技術者など)、教職
医師とほとんど同じ理由で向いている職業です。
ただ、注意が必要なのは他タイプとの競合の問題です。
医師の項で説明したとおり、IN型は学力が高いため医学部入試に有利であり、そして医師になれるのは医学部入試を突破した人だけなので他タイプと競合することは少ないです。
しかし、資格の難易度が低い場合などはIN型の学力が高いという優位性が活きず、その場合は結局のところ仕事がテキパキとできるES型の体育会系などに圧殺されて居場所が無くなってしまいます。
難易度の高い資格や非常に高度な技術などで他タイプに差をつけることがIN型の生存戦略としてとにかく重要になります。
ニッチ企業
IN型のマイペースさを逆手に取った作戦です。
他タイプであれば職業選択の軸として親や友人に誇れるかどうかという点も重視しますが、IN型はマイペースであり知名度を重視しない人も多いです。
例えば、
- 消費者向けの製品を作っておらず知名度は低いが企業向けの製品で世界トップシェアを誇るメーカー
- マーケットのインフラを支える特殊組織
- ある業界の業界団体
など、ニッチな企業や団体は意外とあるものです。
そして、ニッチが故に特定方向に尖った能力が求められ、この点は極める要素があるというところに繋がります。
組織は規模が大きくなると統制のために体育会系化することが多いのですが、こうしたニッチ企業は規模がそこまで大きくなく、したがってIN型にも居心地が良い可能性があります。
注意が必要な職業
証券営業など明らかに向かない職業を選択するIN型はいないと思いますので、ここからは「IN型が行ってしまいがちだけど困難を抱える可能性がある」職業について述べたいと思います。
大企業総合職
難関大学の学生で就活に興味があまりない場合は「とりあえず大企業」という感じで大企業総合職の道を選ぶ人が多く、実際のところ学歴さえあればそのノリでも採用されてしまいやすいのですが、大いに注意が必要です。
私の友人知人でも大企業総合職の道を選んだ人が多かったですが、IN型は軒並み困難を抱えている印象でした。
以下では、なぜ注意が必要かを述べます。
働き方の自由度が極めて低い
まず、総合職とはジョブローテーションを繰り返しながら様々な仕事を経験して最終的には幹部を目指す職種です。
ジョブローテーションや全国転勤を繰り返しながら長時間労働をこなすという働き方は柔軟な働き方とは完全に逆です。
そして、「配属ガチャ」という言葉に現れているように会社主導でキャリアが設計されていくため、自律性の高いIN型にとっては苦痛が大きいと思います。
また、職業上の成功像が社内での出世に限定される風潮があるので、こだわりが強くマイペースなIN型にとってはモチベーションを保つのが困難だと思われます。
裁量が無い
「大企業であれば大きな仕事ができる」というのは事実であり、したがってIN型の創造性を大いに活かせるかと思いきや、ここにも罠があります。
まず、大企業はどこも官僚制を敷いており、業務内容ごとに縦割りの部署構成になっていて、そして垂直方向のヒエラルキー(要するに偉い順)も厳格です。
そのため、何か新しいことをしようとしたら他部署との調整や上層部への稟議などに忙殺され、一挙手一投足が縛られてしまいます。
「経営企画部」や「商品企画部」などの企画系部署であれば裁量があるのかと思いきや逆に酷く、経営層からの資料作成などの要求に応えたり、現場との調整をしたり、関係各所を集めて会議を開いて取りまとめをしたりするなど、調整や会議に奔走されます。
こういった仕事は多数の関係者がいる中で自分の役割を瞬時に理解して行動に移すという点でバスケやサッカーのような団体競技の球技に近く、個人プレーで熟考熟慮を好むIN型の特質とは相反します。
逃げ場が無い
大企業総合職は非常に内向きで、飲み会で出る話と言えば専ら社内の人事ネタばかりです。
職業上の成功像が社内での出世に限定される風潮があるので、社内の人事の話にみんな興味津々になるわけです。
IN型にとってこういった風潮は閉塞感があって逃げ場がないように感じられると思います。
専門職であれば業界団体を通じた同業他社との交流で会社の外の世界にも視野を広げることができることと対照的です。
そして、総合職とは「就職」というよりも「就社」といった方が実態をよく表しており、他者で通用するようなスキルが身につきにくいので転職して他の会社に逃げるという手段も取りにくいです。
コンサルタント
最近人気の職業であるコンサルタントは知的な職業だと見なされがちで、書店に行くと『マッキンゼー社員が語る○○』のような仕事術の本が数多く見受けられます。
しかし、コンサルタントは大企業総合職に近い部分もあり、必ずしもIN型にとって向くわけではないようです。
調整業務が案外多い
クライアントとの会議や資料の作成、そして関係各者の取りまとめなど大企業総合職のような調整業務が案外多く、IN型にとって苦痛を感じやすい可能性があります。
働き方が過酷
クライアントに振り回されるため働き方が過酷であり、そしてとにかくスピードが求められます。
自分のペースで熟考熟慮することを好むIN型はこの点でも苦痛を感じそうです。
参入障壁が無い
医師のような資格業であればIN型の学力の高さがそのまま参入障壁に結び付くのですが、コンサルタントは資格業ではないため参入障壁が低く、学力が高いというだけではあまり優位性に繋がりません。
ここで求められる「頭の良さ」もやはり、「多数の関係者がいる中で自分の役割を瞬時に理解して行動に移す」というような「スマートさ」であり、「学力の高さ」ではないことに注意が必要です。
学者
知力を活かせる仕事として真っ先に思い浮かぶ学者ですが、確かにIN型が非常に多いです。
しかし、良く知られるように非常に競争が過酷です。
しばしば「博士を優遇しろ!」といった言説が特にネットでは多く見受けられますが、そもそも待遇というのは能力によって決まるのではなく需要と供給によって決まります。
今後少子化で大学教授のポストが減っていくことが予見される中で、需要と供給という意味では今後の待遇に期待することは難しいと考えます。
医師のように政策的に供給が絞られている職業は安泰ですが、学問の世界では逆に出口を考えていない大学院重点化政策により博士の供給が激増して深刻な就職問題が起きたことは有名です。
私の大学時代の知人に、医学部を卒業していわゆるバイト医をしつつ、大学に再入学して好きな研究をしているという人がいました。
こういったように経済的な基盤が既にあったり、実家が太くてそもそも働く必要がなかったりする場合なら問題ないのですが、そうではない場合に出口を考えずに進むには危険な道だと考えられます。
クリエイター
クリエイターはIN型の想像力を活かせる仕事そのものですが、こちらも非常に競争が過酷です。
大学教授のテニュア(終身在職権)のような仕組みも無く、終わりなき競争に明け暮れることは避けられません。
そして、近年では生成AIの脅威もあります。
生成AIが大企業特有の関係各所への説明や調整といったブルシットジョブを代替する気配は全くないのに、イラストなどのクリエイティブな分野では既に生成AIの活用が始まっています。
まとめ
IN型にとっての適職は、裁量があって熟考熟慮することができるような専門職だと考えます。
ただし、学者やクリエイターのように明らかな供給過多により競争が過酷になっている職もあるので注意が必要です。
また、IN型は高学歴であることが多く就活には有利なのですが、つい行ってしまいがちな大企業総合職にも注意が必要です。